導入事例 CASE STUDY

客船ビジネス特有の複雑な会計を可能な限りシステム化できた

管理部 部長代理<br />
岡田 ひろみ 氏
郵船クルーズ株式会社 管理部 部長代理
岡田 ひろみ 氏

※役職等の掲載情報は発行当時のものです。

郵船クルーズは客船「飛鳥Ⅱ」を通じてラグジュアリークラスのサービスを提供する客船事業を展開している。今回は客船の視点から海運・国際物流向け会計システム「Sea CASTⅡ」(同社では「NEW STREAMⅡ」とネーミング)に焦点を当てる。システムの開発当初から携わった岡田ひろみ氏に振り返っていただいた。
  • 導入のきっかけ・課題

    グループ会社のYJK Solutionsさんにご相談し、数社からご提案をいただきました。

  • 導入後の効果

    入力時に仕訳を意識しなくてよいなど操作画面も見やすく、エクセルでの出力や2次加工への対応もできるようになりました。

商船にはない要素が入る客船事業の会計

―素朴な質問からですが、一般商船と客船とで会計や経理は異なってくるのでしょうか。

岡田 船舶代理店勘定や航海収支を出すなど、商船と重なる部分は確かにあります。一方、客船事業にとっては、お客様から予約をいただいて客室やサービスを提供することが重要な業務ですので、予約管理をするためのシステムや船上の売上や在庫、会計を管理するホテルシステムなどがあり、それが最終的に本社の会計とつながるイメージです。また郵船クルーズは客船事業に関わる関連2社も含め、計3社の会計を郵船クルーズの経理企画部門が統括しています。加えて、クリスタルシンフォニーやセレニティの日本販売総代理店でもありますので、ドル建ての入金も発生します。そのため、会計システムの構築という意味では通常の海運業とは違った側面があります。

―いつ頃からシステム導入の検討を始めましたか。

岡田 1999年1月に導入しましたので、その1年前頃です。当時はまだ手書きの伝票を経理が入力する時代でしたが、次第に担当者がパソコンから数字を入力し、経理がそれを承認する合理的な仕組みに変わり始めようとしていました。弊社も新たな会計システムの構築を検討するためグループ会社のYJK Solutionsさんにご相談し、数社からご提案をいただきました。最終的にエイ・アイ・エス社を選んだのは、システム構築に専門性を持ちながらも会計に非常に長けている点、そして経理用語を交えてわかりやすく説明でき、かつこちらからの質問や要望にも 柔軟な点でした。入力時に仕訳を意識しなくてよいなど操作画面も見やすく、エクセルでの出力や2次加工への対応も当時は画期的でした。

どの場面を考えても使いやすいシステム

―稼働に至る経過はどうでしょうか。

岡田 操作マニュアルについては、ある程度のひな型はあったのですが、それを郵船クルーズ独自のものにつくり変えていく必要がありました。マニュアルづくりから、トレーニングまでを当時の経理部門が一丸となって対応しました。導入直後、心配していた社内ユーザーからの抵抗は少なかったと記憶しています。月次決算強化を目的と した見積管理機能、船別損益の把握、外国送金、消費税対応、他システムとのインターフェースなど、今はあって当たり前の機能が15年前に既にあり、さらに発展してきたと思うと感慨深いものがあります。

―今後の課題や取り組みについてはどうお考えですか。

岡田 今後「Sea CASTⅡ」(同社では「NEW STREAM Ⅱ」)がバージョンアップする機会があれば、船舶代理店 システムの改善や、予算管理との連携を取り入れたいと考えています。船舶代理店システムは細かな制限も含めて複雑に出来上がっており、運航管理セクションの担当者が交代すると引継ぎが難しく、システムに人が追い付いていないのが実態です。また、導入当初から携わっている一人として「Sea CASTⅡ」はどの場面をとっても使い勝手がよい会計システムだと思います。ただユーザーからは「経理の仕事は細かいのでもう少し何とかならないか」という声が上がってきているのも事実です。管理部門としては予算予測など、より精度の高い管理会計が求められていると認識しています。ユーザー側の作業をこれ以上簡素化することもまた難しい中で、社内全体の効率化を踏まえた経理業務フローの見直しの時期に来ているのだと思います。さらに細かく管理したい部分をもう一度整理した上で、対応を検討し、社内体制を再構築する必要があると考えています。

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